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このページでは、防錆剤と錆転換剤の違いについて詳しくまとめています。
防錆剤は「錆びる前の防止対策」、錆転換剤は「錆びた後の対策」という違いがあります。
防錆剤による防錆は、金属の表面に対して水溶性・油溶性であればそのまま塗布したり溶液に添加して防錆皮膜を形成する、気化性であれば同様に防錆皮膜を形成するか、空気中に気化した成分によって電気化学反応を抑制して錆を防止します。
一方、錆転換剤とは金属が錆びた状態・いわゆる赤錆を黒錆に変化させます。
黒錆は「良性の錆」とも呼ばれ、金属の表面に形成されると赤錆の発生を抑えるとともに、新たな錆の発生を防止してくれます。つまり、できてしまった錆を酸化膜へと変化させ、さらに防錆効果も得られるというものです。
どちらも錆に対して有効な製品ではありますが、防錆剤は錆びる前・錆転換剤は錆びた後というように、使用するタイミングが明確に異なっています。
発生した赤錆に対して錆転換剤を使用する場合、トタン板やシャッターのように錆が広範囲に渡っている場合は大容量の塗布タイプ、刷毛などでは塗りにくい箇所や細かい部品に発生した錆には満遍なく吹き付けられるスプレータイプ、さらに表面が凸凹している場合は浸透しやすい水性のもの、フェンスのような常に外気に触れているものには油性のものというように、用途に適した製品を選ぶことも大事です。
では、錆が発生してしまったら錆転換剤で対応すれば全て解決かといえば、必ずしもそうではありません。
なぜなら一度錆びてしまうと使い物にならなくなってしまう機械や消耗品や部品があるからです。
身近なところでは車のマフラーまわりなどは錆が発生しやすく、部品交換や塗装などをしてもマフラー自体に錆が出ている状態では防錆の効果は長続きせず、劣化によって交換が必要になる場合もあります。
機械部品などの製造現場においても、錆によって作っている製品に不純物が入る原因になったり、機械自体の不調につながる可能性もあるため、切削・研削直後の金属の表面に残存している腐食因子の除去も重要な作業工程とされています。
つまり、第一に「錆を発生させない」ことが重要であり、そのためには防錆剤を使って錆を防止することが大前提となるのです。
錆の発生を防ぐことで機械や消耗品などを長持ちさせ、良い状態を保つために欠かせない防錆剤と、それでも発生してしまった赤錆を「良性の錆」へと変化させて腐食を止め、予防効果も得られる錆転換剤。
どちらも工業においては欠かせない製品であり、その目的や製品に応じて使い分けるのが正解といえるでしょう。
防錆剤が入った容器や袋の中に対象金属を同梱する、シートで覆うだけで優れた防錆効果が得られる気化性防錆剤。ここではその中でも国産で使いやすい(※)気化性防錆剤を種類ごとに厳選して紹介します。
※国産の防錆剤の中でも、使いやすさを示したアイコンの該当項目が多い商品を、パック型防錆剤、防錆紙、防錆フィルムからそれぞれ1つずつ選出しています
城北化学工業
「ラン・ラン」
(パック型防錆剤)
画像引用元:城北化学HP ラン・ラン(https://www.johoku-chemical.com/lanram/)
使いやすさ・用途
特徴
・防錆成分の拡散までわずか15分。気化力に優れ複雑形状の金属にも幅広く活用
・サイズが小さく密閉容器に入れるだけなので、包装や廃棄の手間が少ない
・密閉容器や密閉袋を用いた金属の保管時におすすめ
アドコート
「アドパック」
(防錆紙)
画像引用元:アドコート株式会社・トップ アドパックラインナップ・トップ アドパック‐ G (鉄鋼用含浸タイプ)
(http://www.adpack.jp/lineup/type_gk.html)
使いやすさ・用途
特徴
・気化性防錆紙専門メーカーならではのラインナップで様々な使い分けに対応
・バリア材との併用でさらに防錆力アップ
・部品や金属の包装を兼ねた防錆におすすめ
アイセロ
「ボーセロン」
(防錆フィルム)
画像引用元:アイセロHP アイセロの挑戦02 ボーセロン®物語「アイセロの未来をかけた戦略商品のサクセスストーリー」(https://www.aicello.co.jp/recruit/about/challenge/boselon/)
使いやすさ・用途
特徴
・フィルムが透明なため海外輸送での防錆・梱包に役立つ
・ヒートシールによる密封やフィルムを利用した自動包装ができるため、密閉袋兼防錆剤としても利用可能
※2021年2月時点の情報。公式HPに記載の内容をもとに評価しています
※注釈:アイコンの意味
・繰り返し利用(効果がなくなるまで繰り返し利用できるかどうかで調査)
・即効性(浸透スピードに関する内容を公式HPに記載しているか)
・通販あり(すぐに必要な時に手軽に注文できるECサイトや通販サイトでの販売はあるか)
・防錆の工数が少ない(手間をかけずに防錆できるか)
・無臭(食品工場や家庭用商品など臭いを気にするニーズに応える商品に使用できるか)
・手に触れる部分の防錆(手に付いた時に落ちないか・使う時に手袋をはめた方が良いのか)
・ゴミ・廃棄コスト削減(段ボール一箱分の防錆をする際のゴミの大きさが15cm以内か)
・大容量防錆(ドラム缶サイズの防錆は可能か)