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真鍮とは、銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金(亜鉛含有量20%以上)のこと。黄銅(こうどう・おうどう)とも呼ばれており、熱を加えることで加工しやすいのが特徴です。そのためアクセサリーやインテリア用品、文房具などに活用されています。
ここでは、真鍮が錆びる原因や適した防錆剤などについて紹介します。
水分や空気に触れると緑青が発生
真鍮が錆びると緑青(ろくしょう)と呼ばれる緑色の錆が発生します。塩基性炭素銅や塩基性硫酸銅などの化合物でできた緑青は長年人体に有害であると考えられていましたが、厚生労働省により無害に等しいことが発表されています。
なぜ真鍮に緑青が発生するのかというと、水分や空気が原因です。特に水分に弱く、真鍮でできたアクセサリーが汗などによって黒ずんだり緑色の錆を発生させる現象を見たことがあるのではないでしょうか。
5円玉の変色は緑青や白さびが原因
緑青は主に銅で発生する錆といわれていますが、真鍮にも銅は多く含まれています。銅といえば10円玉の材料ですが、経年によって緑色に変色したものがありますよね。
また、5円玉は真鍮でできており、長年放置していると青緑色や白色の粉状の汚れがついているのをよく目にします。これは銅由来の緑青や、亜鉛由来の白さびが発生したもの。真鍮が空気や水分に触れ続けたことで、緑青や白さびができてしまったのです。
真鍮に発生した緑青には毒性がないものの、衣服への色移りなどの心配もあります。緑青は酢などの酸性のものに漬けると、酸化還元反応によって取り除けます。また、そもそも真鍮に緑青を発生させないように防錆剤を活用するのもおすすめです。
気化性防錆剤
常温で気化し、銅や亜鉛、真鍮などの錆発生を防止します。密閉可能な容器や袋に真鍮製品と気化性防錆材を入れればOK。防錆油を使用しないためクリーンな環境を保てます。塗布や洗浄の手間もかかりません。
水溶性防錆剤
鉄や銅、真鍮などの錆防止として用いられます。液体のため、真鍮製品への塗布が必要。塗布によって真鍮表面にイオン結合分子を張り巡らせて膜化させ、真鍮の酸化還元反応を防いでくれます。塗布した後は乾燥させればOK。防錆油ではないため塗布後のべたつきがなく、拭き取りも必要はありません。
皮膚付着や吸飲に注意
防錆剤の塗布時には皮膚保護のため、保護手袋着用がおすすめです。塗布は換気の良い場所で行い、噴霧する場合はマスクも着用しましょう。
防錆剤が入った容器や袋の中に対象金属を同梱する、シートで覆うだけで優れた防錆効果が得られる気化性防錆剤。ここではその中でも国産で使いやすい(※)気化性防錆剤を種類ごとに厳選して紹介します。
※国産の防錆剤の中でも、使いやすさを示したアイコンの該当項目が多い商品を、パック型防錆剤、防錆紙、防錆フィルムからそれぞれ1つずつ選出しています
城北化学工業
「ラン・ラン」
(パック型防錆剤)
画像引用元:城北化学HP ラン・ラン(https://www.johoku-chemical.com/lanram/)
使いやすさ・用途
特徴
・防錆成分の拡散までわずか15分。気化力に優れ複雑形状の金属にも幅広く活用
・サイズが小さく密閉容器に入れるだけなので、包装や廃棄の手間が少ない
・密閉容器や密閉袋を用いた金属の保管時におすすめ
アドコート
「アドパック」
(防錆紙)
画像引用元:アドコート株式会社・トップ アドパックラインナップ・トップ アドパック‐ G (鉄鋼用含浸タイプ)
(http://www.adpack.jp/lineup/type_gk.html)
使いやすさ・用途
特徴
・気化性防錆紙専門メーカーならではのラインナップで様々な使い分けに対応
・バリア材との併用でさらに防錆力アップ
・部品や金属の包装を兼ねた防錆におすすめ
アイセロ
「ボーセロン」
(防錆フィルム)
画像引用元:アイセロHP アイセロの挑戦02 ボーセロン®物語「アイセロの未来をかけた戦略商品のサクセスストーリー」(https://www.aicello.co.jp/recruit/about/challenge/boselon/)
使いやすさ・用途
特徴
・フィルムが透明なため海外輸送での防錆・梱包に役立つ
・ヒートシールによる密封やフィルムを利用した自動包装ができるため、密閉袋兼防錆剤としても利用可能
※2021年2月時点の情報。公式HPに記載の内容をもとに評価しています
※注釈:アイコンの意味
・繰り返し利用(効果がなくなるまで繰り返し利用できるかどうかで調査)
・即効性(浸透スピードに関する内容を公式HPに記載しているか)
・通販あり(すぐに必要な時に手軽に注文できるECサイトや通販サイトでの販売はあるか)
・防錆の工数が少ない(手間をかけずに防錆できるか)
・無臭(食品工場や家庭用商品など臭いを気にするニーズに応える商品に使用できるか)
・手に触れる部分の防錆(手に付いた時に落ちないか・使う時に手袋をはめた方が良いのか)
・ゴミ・廃棄コスト削減(段ボール一箱分の防錆をする際のゴミの大きさが15cm以内か)
・大容量防錆(ドラム缶サイズの防錆は可能か)